「人間力」を磨くことで圧倒的な営業力がつく仕事
今回は「人間力」を磨き、とどまることなく成長し続ける「株式会社あらい」に直接取材しました。
卸として10名ほどの社員数で10億円もの売上を上げる「あらい」の強さは、圧倒的な営業なのか?
卸売りの仕事で営業よりも、もっと大切な「人間力」とは?
鍛え抜かれた「人間力」を持って成長を続ける「あらい」の本質に迫ります。
目次
- 1.会社を立ち上げた経緯、そこに至るまでのエピソード
- 2.卸売事業をはじめた頃
- 3.「あらいの人間力」とは
- 4.「人間力」以外に大事にしているキーワード
- 5.持続成長を目指すあらいの営業展開
- 6.荒井社長自身の目標
- 7.株式会社あらいの目標
1.会社を立ち上げた経緯、そこに至るまでのエピソード
―――【会社を立ち上げた経緯や、そこに至るまでのエピソード】について教えてください。
私は父親が商売人で母親は父に尽くすという、商売をしている家庭で育ってきました。
母が大好きな少年でした。 母を幸せにしたい、そんな気持ちを強くもっていました。
当時から母に、「あなたは男だから自分の人生を自分の思う様に歩いて行ける」とよく言い聞かされて育ちました。
そして、会社をいくつも経営する偉大な父の背中をみて「若い頃から独立したい、小さくても自分の会社を作りたい」という思いを持つことになりました。
当初は専門学校を卒業し料理人になろうと思っていて、割烹料理屋に就職しました。
しかし、ここでは私の求めるスピードで成長出来ないと感じ、一週間で辞めてしまいました。
それから父と相談した上で、実家の温泉旅館で板前の仕事を手伝う様になりました。
温泉旅館には、女将として母がいましたし、母方の叔父や叔母も働いていたので、周りは私を育ててくれた人ばかりの環境でした。
温泉旅館に愛着はあるし、身内もいる事を考えたら「将来は父に代わって私が継ぐんだ」と思っていました。
代表者の息子として働くにあたり、私の中には
「温泉を立派にしていくには、どの様にしていけばいいか?」
「どの様に判断すれば良いか?」
「みんなを引っ張っていけるだろうか?」
「どの様に行動したら皆をまとめられるか?」
といった考えをいつももっていました。
その思いが強くあった私は、疑問に思った事は、自分が納得するまで何度でも両親に質問しました。
そして、聞いて納得出来た事はすぐに行動に移していきました。
労働時間が、ひと月で350時間にのぼるほど、我武者羅に働いていたのを覚えています。
一方で、そうして一生懸命働く中で、もっと成長しようとする私と、職場の人達とのモチベーションの差を感じていました。
「私が成長したいレベルに対して、今している事はかみ合わない」
ここは自分の居場所ではないと判断した私は、違う仕事を探したいと思い始めていました。
私は、父から会計の仕事を覚えておく方がいいと言われ、大阪府貝塚市から堺市に移り、温泉旅館の会計の仕事をする様になりました。
現場で働いた経験が活き、会計を理解するのにそれほど時間はかかりませんでした。
今考えると、この時の経験があったからこそ今があるので、とても大切な事を勉強させてもらったと感謝しています。
■きっかけに出会う
当時の私は、「とにかく一国一城の主になる為、何かをつかまないといけない」と必死で考えていたのを覚えています。そんな時、今の事業を始めるきっかけに出会いました。
それは、繋がりのあった会社の特約店から商品を安く仕入れ、叔父の会社へ販売するという仕事です。
その仕事を担当していた方が退職される事になり、たまたま私が業務を引き継ぐ事になったのです。
最初は正直「面倒な事だ」と思いながらはじめた業務でした。
実は私はこれまで身内に囲まれた中で働き、好きな事が出来ない、やろうとしてもやりにくい状態に居心地の悪さをずっと感じていました。
しかし引き継いだ業務は私以外にする人が無く、他の誰にも邪魔されない唯一の仕事だったのです。
「何かつかまないといけない」
常にそう考えていた私は、ある事に気が付きました。
「これ、自分で売りに行ったらいいんや!」
そして、
「この仕事で一国一城の主になれるかもしれない。会社を立派にして、自分も立派になろう!」
と考え、雑念をはらい、ひたすら仕事に没頭したのでした。
そうして、叔父の会社へ販売しているだけでは未来はないと考えに行き着き、特約店からウォシュレットを沢山仕入れ、自分で販路を広げようと飛び込み営業をはじめました。
友人にも手伝ってもらい、そのウォシュレットを工務店や水道業者、設備業者にどんどん販売していきました。
この時期は右も左もわからず、とにかく毎日を我武者羅に過ごしていく事で、会社の利益は順調に上がっていきました。
そうして、結果を出し続け、「株式会社アライ物産」の株を買い、社名を株式会社あらいに変更し、私の商売は本格的にスタートをきりました。
2.卸売事業をはじめた頃
―――卸売事業をはじめた頃について教えてください。
株式会社あらいとして卸事業を初めた当時、お客様はすでに大手から地域の卸業者まで様々な仕入れ先を持っており、私達の様な名前も聞いた事のない仕入れ先は全く相手にしてくれませんでした。
ライバル会社の卸業者に負けたくない一心で、いっぱしの卸業者になるべく、色々な仕入れ先と取引を開いて、価格交渉を経て様々な商品を取り扱い始めました。それと並行して商品・現場の知識を身に付けていきました。
しかし、お客様に認めてもらえない限り商品の受注に繋がらない為、お客様との信頼を第一に考え、常に素早い対応を心掛け、真面目かつ地道に接し、お客様の無理な要望にもなんとしてでも応えていきました。
その中で、売掛が出来るお客様かどうかの判断を早い段階でする為に、そのお客様はどんな人なのか、家族の方はどうなのか、現場に入っている職人さんはどの様な話をしているか、現場は整っているか、事務所、トイレの清掃は行き届いているかなどを観察しました。
こうしてお客様と接する中で、本格的な売掛が出来る方なのかどうかの判断力を培っていきました。
そうして、やっと少しずつ取引を開く事が出来る様になりました。
そして、創業から5年後には、卸だけで商売していく事は難しいと考え、リフォーム事業も始めました。
この事業を経験した事で、現場で何が起こるか予期出来ない事、沢山のメーカー商材が必要である事、すぐ商品が必要になる事など、人の暮らしている所をリフォームする大変さを知る事で、お客様の求めるものと私達に出来る事を合致させるヒントを得る事が出来ました。
そうして、リフォーム事業を始めて4年後に休止を決断し、卸売業に専念する事で、お客様の問題を解決する3つの強みである
・住宅の増改築・リフォームにまつわるありとあらゆるメーカーの取扱い
・現場に役立つ商品18,000点の取り扱いを実現し、店頭販売を展開
・「あらいの人間力」
を打ち出す事が出来ました。
この様に付加価値を生み出す事で、住宅設備機器の総合卸業者+ホームセンターが合わさったあらい独自のサービスを展開出来る様になりました。
何もかもが手探りで苦労しましたが、少しずつでも前に進み、工夫し、また粘り強く進み、さらに工夫して、そういった事をあきらめず何度も繰り返し、確実にお客様を増やしていったのです。
ほとんどが中小企業の工務店の社長だったので、一筋縄ではいかず、大変鍛えて頂き「人間力」が身についてきました。
3.「あらいの人間力」とは
―――「あらいの人間力」とはどういったものでしょうか?
あらいの独自サービスを活かす為には、「あらいの人間力」を駆使する事が大切になってきます。
「あらいの人間力」とは、自分を磨き、周りを良くする事で、より良い人生を歩む力の事です。
どのような環境下でも、その環境を生かし、自ら幸福の旋律を奏でる事が、この世に生を受けた者の使命だと考えております。
この使命を果す為には、
・与えられた自分の仕事で自分の人生を切り開いていく「主体性」
・「基礎的な知的能力」 「専門的な知識・ノウハウ」を持ち、自らそれを「継続的に高める向上心」「謙虚」。それらの上に応用力として構築される「論理的思考力」
・良い影響を与えられる様にする「道徳・倫理感」、「創造力」
・上手く働きかける「コミュニケーション力」「リーダーシップ力」「気遣い思いやり」
・これらの根本的な力を発揮する為の「忍耐力」。そして一番大切なのが「人生を楽しむ力」(仕事と人生の意義を結び付ける力=誇り)
などの人としての総合力が必要です。
私達はこの力を用いて、相手に十分気を向けて観察し、相手の本当にやりたい事を見つけ、それの実現に本気で取組みながら、よい影響を与えられるようにして粘り強く信頼関係を築いていきます。
そうして仕事をしていく中で、人を見る目を養い、お客さまや仕入先に上手く働きかけて価値を生み出す事が出来ます。
そうする事で、お客様も満足し会社も潤い、関わる人を幸せにし、良好な信頼関係を築く事で、相手の心を動かす。
それは仕事の本質であると考えています。
私達卸はメーカーと違って、基本的には、モノをつくる事が出来ません。
すなわち卸はメーカーとお客さんありきの他力の仕事です。
他力だからこそのやりにくさや、メーカーへの憧れも感じ、卸を辞めたいなと思った事は実は、何度もありました。
しかし、こういう卸だからこそ、真髄を突こうと思ったときに
「あらいの人間力」が大切だと気付く事が出来ました。
色んな強みをもつ会社はあります。
ただ、メーカーでもない私たちは仕入れて売るという事をしていたからこそ、あらいの人間力を鍛える事で、人として、根本から強くなる事が出来、そういう武器を持つ事で、「商売の鉄則」であるお客様から何度も買って頂くという事を大切にしてきました。
仕事を通して、自分を磨いて(人間力)を向上させていく。
株式会社あらいをそんな人生道場の様な場所と考える事で、社会に役立つ立派な人を育てる事が出来る風土をあらいは目指しております。
4.「人間力」以外に大事にしているキーワード
―――「人間力」以外に大事にしているキーワードについてあれば教えてください。
仲間一人ひとりが本当に素晴らしい人生を歩んでいく為に、あらいがいつまでもいい会社であり続ける必要があります。
その為には、経営理念(社員の幸せを追求すると共に、なくてはならない存在を目指し、社会に貢献する)を追求する事で「人と企業の持続成長」を目指しております。
私達は、人生を共に歩んでいく仲間と心を一つにして、猛烈に働き、苦楽を共にして、目の前にある最も難しい問題に対して高い目標を設定し乗り越えていかなければなりません。
与えられた仕事で人生を切り開こうとしていく事で、自己実現を果たし、ワクワク生き生き楽しむ事が私達の目指す精神的な幸せです。
また、仲間の苦労に報いる為に、高い目標を達成し続ける事で会社は発展し、利益を上げ続ける必要があります。
この様に会社が発展する中で、仲間の物質的、経済的な安定や豊かさを求めていく事でより一層の幸せを感じられる様にしていきます。
これからも社会から必要とされる私達独自の商品開発、サービスを提供していきます。
お客様に喜んで頂き、信頼を築いていく事で、より多くの人に感動をもたらす存在を目指し、社会に貢献していきたいと私達は考えています。
こうしていく事で、本当に良い人生を送ってく事が出来ると考えています。
5.持続成長を目指す株式会社あらいの営業展開
―――「持続成長を目指すあらいさんの営業展開」について教えてください。
私達は、何もなかった会社だからこそ、お客様の利便性(店頭販売・配達・専任の営業担当がお客様につく事)を追求し、付加価値を付けていく事で、沢山のお客様にご支持を頂き、年商10億を超える企業へと成長を遂げる事が出来ました。
これからも、この基幹事業を更に拡大し、2021年に隣接する土地に店舗増設、現在、18,000点の商品在庫を36,000点まで拡大する事を予定しており、「あらいに行けば何でもそろう」という安心感をお客様に持って頂き、さらに信頼度を高めていきます。
そうして、「一企業で何でも揃い、お客様の問題を解決出来る企業」を目指しています。
そして、取り扱い商品と在庫を合わせた350,000点を即日に出荷できるネット販売の展開を考えています。
加えて、業務システムを自社開発する事で業務効率化を7年もの間推進し続けています。
EC事業もあり、システムを開発している事を強みとして、アゲタス構想を実現していきたいです。
―――アゲタスとは何でしょうか?
アゲタスとは、増改築・リフォームの総合卸業を営む「株式会社あらい」が自社開発したシステムの事です。
このシステムには、特許申請中が3件あり、業務システムをまるごと統合する事で、システム間の垣根を越えた業務効率化を実現する事が可能なシステムです。
今後は「業務まるごと管理システム」メーカーとして、強烈な個性を持つ商品の販売を予定しています。
あれもこれも開発したいわけではありませんので、あらいと同じような業種や業態(住宅設備、建材、金物、管材、建築金物などの卸売・店舗販売・ネット販売)に、私達が本当に必要だと思うものを開発していく事で、強烈な個性を持つシステムに育て、販売していきたいと考えております。
6.荒井社長自身の目標
―――「荒井社長自身の目標」を教えてください。
私の最大の使命は「経営理念」を追求していく事です。
あらいの経営の原点は、私が仲間を幸せにしていく為に、なんとしてでも会社を立派にする。そうしていく中で、自分も成長したいと志した事です。
私が仕事に没頭していく中で、しっかりとした考え方(哲学)を決めれば、自分の人生も、会社の未来もおのずと良い方向に向かう事が出来ると考える様になりました。
沢山の失敗や、困難に立ち向かって乗り越えた成功の経験、その時々の人生について葛藤する中から「経営哲学」と「人生哲学」が生まれ、私なりの哲学になりました。
この「あらい哲学」は、人生を共に歩んでいく仲間の心を一つにまとめていく為にも、経営者を含め、仲間の道しるべになります。だから、私自身の考え方である「あらい哲学」を磨き続けなければいけないと考えています。
この哲学を磨き、それが仲間に浸透していく事で、経営理念を追求していきます。
そうして、沢山の人の役に立ち、幸せに出来る存在になる事が人格を高める事に繋がります。
人格を高め続けていれば、すべての事が長く続き、深く掘っていく事が出来ますので、面白い事が出来る可能性は高くなります。
それが、より多くの人達の役に立つ事に繋がり、仲間をより幸せにする事が出来ると確信しております。
それにより信頼が生まれ、「この人について行こう、この人の言う事なら絶対聞きたい」と人を動かし、仲間のベクトルを合わせ、無限の可能性を生み出す事が出来ます。
この様な事がしっかり出来ているということは、判断力があり、間違えない、道理もわかっているから、何をやっても上手くいくし、どこへいっても重宝されます。
沢山の人から必要とされて信頼され、喜びを与えられる存在になる事で、どこまでも人格を高め続けられます。
そういう立派な人になっていく事が私の人生の目的だと考えています。
とにかくここから、私はワクワク楽しんでいきたいです。
7.株式会社あらいの目標
―――「株式会社あらいの目標」について教えてください。
私が考えているのは、政令指定都市の20か所にあらいの店舗を構える事です。
それは大体200億~400億円の売上規模になると思っていまして、社員の数でいうと300、400人になるでしょう。
私達の独自サイトで350,000点を即日出荷出来るサービスを各拠点で、より早く、商品を届けられる様にもしていきたいです。
更にそこに、アゲタス構想を実現させていきたいです。
私達は、これまでゼロからやってきたからこそ、この先も私達の進む道を切り開いていく事が出来ます。
あらいでは創業以来「創意工夫して収益を“高める”」「社員一丸となって生み出した利益を“蓄える”」「事業を進化させる為に“投資する”」を繰り返してきました。
これからもこの考えで「人材」「事業」「社会」においても、”高める”・“蓄える”・“投資する”を一つ一つ積み上げ、新しい付加価値を生み出し、事業構造を進化させる事で、更成る相乗効果を図っていきます。
「誰にも出来なかった事をしていく」これこそが、卸の枠だけにおさまらない、「圧倒的卸」と呼ばれる株式会社あらいの矜持です。
ーーー最後に、転職や就職を考えている方にメッセージをお願いします。
私達は、本当に良い人生にする為に、経営理念を追求する事で人と企業の持続成長を目指しております。
私達の目指すものに共感して頂ける方に来て欲しいですね。
あらいは、一人一人の人生を真剣に考えているからこそ、
経営理念である「社員の幸せ、我々にしか出来ない事、社会に貢献する」を追求し、仲間にも厳しく接して育ていきます。
そうする事で、その人が立派に育つ事が出来るから、仕事が楽しくなり、夢や希望も持つ事が出来、誇れる様なものになると私は確信しています。
そんなものを持ちたいなと思っている人が来てくれたら、とても嬉しく思います。
名前: 荒井 宏治
肩書き: 株式会社あらい 代表取締役社長
大阪府堺市にある株式会社あらいの代表。圧倒的卸企業として、総合卸~小売(店頭販売)~EC~システム開発まで展開。「人間力」を磨くことに注力している。